叶う。 Chapter1
私はその姿に満足すると、そのまま鏡台に向かった。
今日はきちんと肌の手入れをして、普段は発表会でしか使わない化粧品を手に取った。
慣れないメイクで時間がかかるのは必須だけれど、やっぱり記念すべき今日という日は綺麗にしてたい。
私は下地を丁寧に肌に塗りこむと、ラメ入りのファンデーションをパタパタと顔にのせた。
薄いピンクのチークを引くと、いつもよりも血色が良く見えるし、そばかすもすっかりその存在を隠した。
眉を薄く書いて、目がはっきりするようにアイラインを引く。
私の目はアイラインを引くだけでとても印象が変わるので、アイシャドウをのせると一気に派手に見える。
なので今日はアイラインとマスカラだけにすることにした。
睫毛を丁寧にビューラーで上げると、外国の血のおかげかその瞳はぱっちりとして、まるで自分の顔じゃないみたいだ。
仕上げに薄いピンクのグロスをつける。
鏡に映った自分の姿が、いつもより少しだけ大人っぽく見えた。
その出来映えに満足すると、私は鏡台の引き出しからホットカーラーを取り出した。
コンセントを挿して温めている間に、髪を何箇所かにきっちりと分ける。
今日は少しでも大人っぽく見せたかったので、ママみたいに巻き髪にしようと思っていた。