叶う。 Chapter1




あまり人を褒めたりする事がないシオンがそう言ってくれたので、私はすごく気持ちが楽になった。
相変わらず恥ずかしかったけれど、聞いて良かったと心から思った。

「んー?どうしたアンナ?やっぱり男でも出来たか?」

レオンはそう言って意地悪く笑う。
私は更に顔が熱くなるのを感じたけれど、はっきりと否定した。

「違う・・・・の、友達と、遊ぶだけ。」

「友達?可愛いの?」

「・・・可愛い子だよ。」

「それじゃ、紹介してもらわないと。」

「・・・ダメ。」

「なんでだよ?」

「・・・・。」

「俺も一緒に行っていい?」

「絶対ダメ。」

私とレオンの攻防はしばらく続いたけれど、溜息を吐いたシオンにレオンが襟首を掴まれたことによって、ようやく終わりを告げた。

「いい加減にしろ。」

シオンはそう言って、レオンを引っ張りながら部屋に向かう。
あれだけしつこかったレオンだったけれど、渋々シオンの後に続いて部屋に向かった。

そして角を曲がる時、振り向きざまに笑顔でこう言った。


「楽しんでおいでねー。」


その言葉はとても温かくて、私は小さく笑って手を振った。

なんだかんだ言っても、レオンもシオンも優しいのだ。




< 192 / 452 >

この作品をシェア

pagetop