叶う。 Chapter1
あまり人を褒めたりする事がないシオンがそう言ってくれたので、私はすごく気持ちが楽になった。
相変わらず恥ずかしかったけれど、聞いて良かったと心から思った。
「んー?どうしたアンナ?やっぱり男でも出来たか?」
レオンはそう言って意地悪く笑う。
私は更に顔が熱くなるのを感じたけれど、はっきりと否定した。
「違う・・・・の、友達と、遊ぶだけ。」
「友達?可愛いの?」
「・・・可愛い子だよ。」
「それじゃ、紹介してもらわないと。」
「・・・ダメ。」
「なんでだよ?」
「・・・・。」
「俺も一緒に行っていい?」
「絶対ダメ。」
私とレオンの攻防はしばらく続いたけれど、溜息を吐いたシオンにレオンが襟首を掴まれたことによって、ようやく終わりを告げた。
「いい加減にしろ。」
シオンはそう言って、レオンを引っ張りながら部屋に向かう。
あれだけしつこかったレオンだったけれど、渋々シオンの後に続いて部屋に向かった。
そして角を曲がる時、振り向きざまに笑顔でこう言った。
「楽しんでおいでねー。」
その言葉はとても温かくて、私は小さく笑って手を振った。
なんだかんだ言っても、レオンもシオンも優しいのだ。