叶う。 Chapter1
自宅に戻ると、室内はとても静かだった。
兄達は寝ているだろうけれど、リビングを覗いてもママの姿はなかったので、帰宅しているのか、居ないのかは分からなかった。
ママの顔が見れないことがちょっと寂しかったけれど、それはいつもの事。
日曜日は夜には必ずママは家に居るので、後でゆっくり話をしようと思った。
ピアノのバッグを部屋に置きに行くと、中から携帯を取り出す。
時間は1時になったくらいだったけれど、私はちょっと考えてから凛ちゃんにメールしてみることにした。
自分からメールをするのは何だか気が引けるけれど、それだけ凛ちゃんと一緒に遊べる事を楽しみにしているってことを、どうしても伝えたい。
いつも待っているだけの私は、昨日の先生の話し、ママとの話しから、ほんの少しだけでいいから勇気を出して自分から行動するようにしないといけないと思った。
“ピアノ終わったよ!もういつでも大丈夫”
約束まではあと1時間近くあるけれど、もう支度は完璧だし、いつでも大丈夫な事を凛ちゃんに伝えたかった。