叶う。 Chapter1
ゆっくりと曲が始まる。
私はそのリズムをカウントしながら、じっと凛を見つめた。
次の瞬間、私は思わず目を見開いた。
凛の身体がリズムに合わせて、しなやかに動く。
その動きはとても滑らかで、だけれどとても力強くて、そして何よりも瞬きする隙もないくらい完璧だった。
音楽に合わせて踊る凛は、笑顔ですごく楽しそうだった。
どうしたらそんな動きが出来るんだろうと思うくらい、凛のダンスは凄かった。
私はその圧倒的なパフォーマンスに、息をすることすら忘れてしまいそうだった。
そして私は、凛があんなに沢山食べるのに、なぜこんなにスタイルをキープ出来るのか理解した。
曲が終わると同時に、凛の動きもピタリと止まる。
私は気付くと無意識に拍手をしていた。
「・・・・すごい。」
それ以外に適切な言葉が見つからない。
凛は両膝に、両手をついて肩で息をしていた。
あれだけ動いたらそれだけ呼吸が乱れるのは当たり前だってことは分かるけれど、踊っている凛はそんなこと一切感じさせなかった。
ダンスに詳しくない私には分からなかったけれど、それがとても上手いということだけは分かった。
「あれは、ジャズヒップホップってジャンル。」
急に隣から声が聴こえて、私は自然にそっちを向いた。