叶う。 Chapter1
「そうなんだ・・・。」
「昔から一緒にヒップホップ習ってんだ。」
「そうなの?・・・あの・・和也さんも?」
「和也さんって、和也でいいよ。俺らタメでしょ?」
「あ、うん・・そうだね。」
「俺もかなうって呼んでもいい?」
「うん。」
私がそう言うと、和也は少しだけ目を細めて笑った。
私はその笑顔に一瞬、ドキっとした。
そして改めてその顔をはっきりと見た。
少し切れ長だけれど猫みたいな形の瞳に、すっと通った鼻筋、形のいい唇は少し薄めで、笑うたびに綺麗に弧を描く。
この人はきっと女性にすごくもてるだろうと直感的に感じた。
だけれどその笑顔は、何だか見覚えがある。
どこかで会った事があるのだろうか?
でも、こんなに目立つ人なら、会ったらきっと忘れないはず。
暫く頭の中で考えてみたけれど、全く思いつかない。
だけれど次の瞬間・・・。
ふと、私は気付いた。
その笑い方は凛に良く似ているという事に。
顔は全然、似ていない。
二人とも美男美女なことには変わりないけれど、顔の作り自体は全くの別人。
だけれど、笑った表情が二人は良く似ている。