叶う。 Chapter1
それはとても不思議だった。
でも多分、人見知りな私がこうして和也と普通に話が出来るのはそのおかげなのかもしれない。
凛によく似た和也だから、きっとこうして隣に並んでても違和感がないのだ。
「かなう、どうだった?凛上手くない?」
呼吸が落ち着いたらしい凛は私に向かって笑顔でそう言った。
「びっくりしたよ。凄いかっこよかった。」
私の言葉に、凛はにっこり笑ってピースした。
凛はそのまま私達のところにやってくると、私の隣に静かに座った。
「いつもここで練習してるの?」
私は凛に向かってそう聞いた。
「練習っていうか、ここはうちらの溜まり場みたいなもんだよ。」
「溜まり場?」
「うんうん、小学校の頃からずっとここでこいつらと遊んでんの。」
「そうなの?」
「そう、暇さえあれば集まってる。」
「そうなんだ。」
「まぁ、最近はみんな女作ったりで忙しいらしいから、全員いつも居るって訳じゃないけど。」
凛はそう言って目を細めて和也を見た。
それに気付いた和也は凛にこう言う。
「何だよ?」
「別に?」
無言で軽く睨みあう二人は、何だかとても仲良し見える。
そんな二人にどんな反応をしていいのか分からなかった私は、とりあえず曖昧に笑っておいた。