叶う。 Chapter1
私は普段から、あまり周りを見ない。
理由は様々だけれど、何より周りの目を引きたくない。
前の学校のこともあったし、自分ではそんなつもりはなくても相手を不快に思わせたりしてしまうんじゃないかとずっと思っていたからだ。
だから、今の学校に転校してからは、なるべく周りを見ないようにしてきた。
凛は特別だったけれど、それ以外の人は正直顔と名前すらほとんど知らなかった。
私がそんなことを考えていると、和也はゆっくりと話し始めた。
「俺と、凛と、愁と、祐希は同じ学校、晃は学区が違うから別の学校だけど、小学校はみんな一緒だったんだ。」
「・・・そうなんだ。」
「そうそう、皆で一緒にダンスやってたし、まぁ、凛は俺んちの向かいに住んでるから幼稚園から一緒なんだけどな。」
「すごいね、そんなにずっと一緒なんだ。」
私は和也が羨ましくなった。
凛とずっと一緒に過ごせたら、きっと楽しいだろうと思う。
「凛ってさ、男勝りだから昔っから俺らとばっか遊んでてさ。」
「うん?」
「ちょっと、何言うの?余計な事かなうに言わないでよ!」
のんびり話す和也に、凛がイライラと割って入った。