叶う。 Chapter1
だけれど、和也はそんな凛におかまいなく、またゆっくりと話し始めた。
凛はその様子を見て、イライラとタバコに火をつける。
それにつられて、晃も胸ポケットからタバコを取り出した。
「だから、今日かなうが来た時、俺ら本当にビックリしたんだよ。」
「・・・そうなの?」
「うん、凛もだけど、俺ら基本的にここに来る時はいつも5人だけだったからさ。」
私はなぜか、その言葉を聞いて申し訳なく思った。
なんだか自分が酷く邪魔者な気がして俯いた。
咄嗟に口から出たのはやっぱり謝罪の言葉だった。
「・・・ごめん。」
「いやいや、そうじゃないんだって。俺らさ、いつも俺達とばっか遊んでる凛が友達居ないじゃないかって言ってて。」
凛が軽く怒ったように口を挟む。
「余計なお世話だっていつも言ってんじゃん!」
だけれど和也は凛の言葉が聞こえなかったように、話し続ける。
私は和也をじっと見つめた。
和也も私から視線を外さなかった。
「だから、今日かなうがこの場所に来てくれて良かった。」
和也はそう言って、凛とそっくりに優しく笑った。