叶う。 Chapter1
私はどう反応したら良いのか分からなかったし、何より言葉で表現することすら頭に浮かばなかった。
だから私は隣に座る凛に、思いっきり抱きついた。
それは今思えば小さい子供が、母親に無意識に抱きつくのと同じ反応だった。
「ちょっ・・・」
「凛・・・大好き・・・。」
私がそう言うと、凛は一瞬驚いてたようだったけれど、抱きついた私の髪を優しく撫でてくれた。
「かなうはやっぱり可愛いなぁ。」
凛がそう小さく呟いた。
「ちょっと、凛そこ代わって。」
その姿を見た晃がそんな事を言う。
凛はそんな晃に中指を立てた。
温かな笑い声が、もうすっかり夕日が見えるその場所に響く。
私は心地良い凛の腕の中で、その笑い声を深く耳に記憶させた。
温かなその場所は、私に沢山の感情を思い出させてくれた。
そしてこの日を境に、私は段々と変化していくことになる事には、この時の私はまだ気がつかなかった。