叶う。 Chapter1
変化と乱心
/距離
――――結局。
その日は、夕日が沈んで街頭がその存在を現すまで、私達は喋ってた。
と言っても、私はほとんどが聞き役だったけれど、小さい頃の凛の話や、5人が小学校でしてきた悪事などの話が中心だった。
その話はとても面白くて、私はそれを想像して楽しんだ。
その面白おかしな空気のおかげで、私はいつの間にかすっかり打ち解けて、皆は私をかなう、と呼んで、私は皆を名前で呼べるようになった。
5人は小学校から同じダンススクールでダンスを習っていて、今はそれぞれジャンルが違うけれど、それでもまだ皆そのスクールでダンスを続けているらしい。
なぜ、そんな話題になったかというと、そのダンススクールはなんと私が住む家の目と鼻の先にある場所だったからだ。
それはピアノの先生の家の直ぐ近くで、絶対に何度か会ったことがあるに違いない、という話になったのだ。
「かなうみたいな可愛い子見たら、絶対気付くはずだから、俺は会った事ない!」
晃はそう言って私を見てにっこり笑う。
「確かにかなう見かけたら、俺も気付きそうだな。ひょっとして行動時間が違うんじゃね?」
和也も少し考える素振りをして、そう言った。