叶う。 Chapter1
「まぁ、凛がついてりゃ、変な男は近寄れないな。」
和也がそう言って優しく笑う。
「どういう意味?」
凛は目を細めて和也を見る。
「凛はかぁちゃんより怖いからな。」
「確かに。」
和也の言葉にすかさず愁が相槌を打つ。
「あんたら私を何だと思ってるわけ?」
凛はそう言いながらも、楽しそうだった。
そんな凛を見ながら、私もつられて笑った。
クラスメイトが私をどう思っているかなんて、もうどうでも良かった。
不快にさせてさえいなければ、気にする事でもない。
もう辺りはすっかり暗くなっていた。
時間はまだ6時くらいだったけれど、冬が近いので日が落ちるのが早かった。
ずっとこうして皆と居たいと思うけれど、明日は学校だし皆はいつも何時まで遊んでいるんだろうかと、ふと思った。
それから30分くらい経っただろうか、尽きない話題の中、和也が立ち上がって大きく伸びをした。
「俺、そろそろ行かなきゃ。今日レッスンだし。」
そう言って、少し離れた場所に放置されていた鞄を取りに向かった。