叶う。 Chapter1
だけれど、和也のおかげで無駄な説明をしなくて済んだし、何よりあの電話の雰囲気だと、ママはきっと安心しているだろうと思った。
「・・・あの、ありがと。」
「いやいや、遅くなったのは俺らのせいだし。」
和也はなんでもない風にそう言ってまたゆっくり歩き出す。
「あ、そうだ。番号交換しねぇ?」
「うん?」
「かなうが嫌じゃなきゃ、携帯教えて。」
「え?」
私はまだ握り締めたままの、携帯に視線を移した。
「あー、迷惑じゃなければでいいんだけど?」
「・・・うん・・・でも・・・あの・・・。」
もごもご口篭る私に、何を勘違いしたのか和也は慌ててこう言った。
「いや、別に大丈夫。気にしないで。凛に連絡取れれば良いもんな。」
「・・・ちがう・・・の。」
「いや、ほんと無理しないで。」
「ちが・・・くって、あのね。」
「ん?」
「やり方・・・。」
私はそう言って携帯を差し出した。
それは昨日まさに、レオンに聞こうとした事だった。