叶う。 Chapter1
だから小さく手を振って、ママと並んで和也を見送った。
和也も何度か振り返って会釈をしたけれど、急いでいたのかその姿は直ぐに見えなくなってしまった。
私は和也の姿が見えなくなると、恐る恐る隣にいるママを見上げた。
ママと視線が合うと、ママは今までに見たことがないくらいのにっこり笑いを浮かべてた。
「さて、アンナ。楽しいお話を聴かせて頂戴。」
そう言って私の肩を抱きながらゆっくりと自宅に向かった。
自宅に着くと、リビングには残念なことにシオンとレオンが揃ってた。
二人はまたソファを占領して勉強をしている様子だった。
「おかえりあーちゃん。デートどうだった?」
私がダイニングテーブルにつくと、レオンがニヤニヤ笑いながらそんな事を言う。
デートじゃないと否定したかったけれど、なぜか私の代わりにママが返事をする。
「すっごく礼儀正しい子だったわよ、あんた達と違って。誠実そうだし、綺麗な顔してたし。」
「は?俺らのがイケメンだろうが。」
「はいはい、顔が良いのと性格が良いのは違いますからね。」
ママはそう言って、私に「ご飯は?」と声を掛けてきた。