叶う。 Chapter1
正直、食欲はあんまりなかったけれど、私は「食べる」と返事をした。
日曜日はいつもママがご飯を作ってくれる。
だから、毎週日曜日は必ず皆で揃ってご飯を食べる。
だけれど、今日は兄達はもう食事を済ませている様子だった。
ママはキッチンに行って、私の分の料理を温めなおしてくれた。
私はその隙に手を洗って、食器を取り出した。
ご飯の用意が出来て私がテーブルに着くと、ママは向かいに座って両手を組んで私をじっと見つめる。
私はなぜか動物園の動物になった気分だった。
お祈りを済ませ、頂きますを小さく言うと早速ママの尋問が始まった。
「今日は何して遊んできたの?」
「凛の・・・ダンス見せて貰ったよ。」
「あの子、一条君だったっけ?ナンパでもされたの?」
「ううん・・・凛の幼馴染なんだって。」
「そうなんだ。すごい良い子だったわね。」
「・・・・そう・・・かな?」
「うん、今時珍しいくらい礼儀正しいし、多分親御さんの教育がいいのね。」
ママはそう言ってちらりと双子を見た。
「俺らだって礼儀正しいぜ。」
レオンがまた口を挟む。
「あんた達も外面だけは立派なんだけどねぇ。」
「は?」
「女にだらしないのはいただけないわ。」
ママはそう言って、目を細めてレオンを睨む。