叶う。 Chapter1
「別にだらしなくねぇし、それにアンナ送ってきたやつだって俺らみたいに外面がいいだけなんじゃね?男なんてそんなもんだよな?シオン?」
レオンは指先で器用にシャーペンを回しながら、シオンに同意を求めた。
シオンは一瞬、教科書から顔を上げたけれど、何も言わずにまた教科書に視線を戻した。
「そんなことないわよ。目を見れば分かるわ、その人がどんな人なのかなんて。」
ママがそう言ったので、私は和也の瞳を思い出した。
漆黒の深いその瞳は、なぜか見つめられるだけで温かい気持ちになる。
優しく見つめられるだけで、何だか見守られているような気分になった気がしたことを思い出す。
途端になぜか恥ずかしくなって、私は俯いて食事に集中することにした。
その後は散々だった。
ママは私が何処で何をしてきたのか質問攻めにしたし、レオンは合間にちょこちょこ会話に入って来ては私を冷やかしたりした。
だけれど最終的には、その場には和也と凛以外の人も居て、友達になったことをなんとか伝えることが出来たので、ママの和也に対する勝手な妄想はどうやら無事に解決したようだった。