叶う。 Chapter1
そして歯磨きを終えると同時に、バスルームのドアが開く。
私は驚いて開いたドアに視線を向けた。
「アンナ居たのかよ。」
それはレオンで、どうやらお風呂に入りに来たようだ。
「・・・・あ、ごめん。」
私はバスタオルしか巻いてない事に気がついて、咄嗟に謝った。
「何が?」
レオンはそんな私を全く気にしていない様子で、私に背を向けたまま着ている上着をそのまま脱いだ。
鏡越しに、レオンの筋肉質な背中が見える。
身長が高いせいか、いつもは少し細身に見えるけれど、その背中はとても広くて、やっぱり外国の血が入っているのが良く分かる。
いつもは暗がりでしかシオンの身体を見ることがなかったので、明るい所で見るその背中になぜかとても興味が湧いた。
シオンではないけれど、きっと同じなんだろうと思う。
「なーに見てんの?」
はっと気付くと、鏡越しに目が合った。
レオンはいつの間にか振り返って私を見ていた。
「何でも・・・ないよ。」
私は咄嗟にそう言って、バスタオルを握り締めた。
服を着なかったことを後悔したと同時に、私が居るのに何でレオンは入って来たんだと言いたくなった。