叶う。 Chapter1






レオンは意地悪く笑みを浮かべると、鏡の前で立ち尽くす私の目の前までやってきた。

「アンナも男の身体に興味が出てきたわけ?」

「そん・・・なんじゃないよ」

私はそう言いながらも、顔が赤くなるのを感じた。
別に身体を見たのが恥ずかしい訳じゃなくて、じろじろ見ていた自分が恥ずかしかった。

レオンは更に私に詰め寄ると、洗面台に両手をついて私を挟み込んだ。
私は逃げ場をなくして、この洗面台にめり込んでしまいたいと本気で思った。

そしてレオンはゆっくりと私に視線を合わせると、片方の口角だけを上げて笑った。


その笑い方はシオンもよくする。

綺麗で残酷に見えるその笑顔は、悪魔みたいだと思った。


吐息がかかる程、近いその距離。

思わず私は目が泳いでしまう。
どうしたらいいのか分からない。


シオンだけでなく、もしレオンとも気まぐれで変な関係になってしまったら、もうママに隠すことは出来ないんじゃないかと不安に思った。

だけれど、次の瞬間。


「・・・・ふっ・・」





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