叶う。 Chapter1
「もしもし?」
“もしもし?いきなり電話してごめん。今大丈夫なの?”
「ううん、全然大丈夫だよ。どうかしたの?」
いきなりの電話で何かあったのかと思ったので、純粋にそう聞いた。
“いや、別に用はないんだけど。なんとなくかなうの声が聞きたかっただけだよ。”
「そうなの?」
“うん、迷惑だった?”
「ううん、全然迷惑じゃないよ。」
“それなら良かった”
和也はそう言って、電話口で笑った。
一体何の用事で電話をしてきたのかは疑問だったけれど、なんとなく嬉しく思った。
“かなうってさ・・・”
「うん?」
“普段何して遊んでたりするの?”
「うーん・・・本読んだりとかかなぁ。」
“え?そうなの?遊び行ったりしないの?”
「・・・うん。」
“映画とか行ったりとか?”
「・・・・ごめん、しないよ。家から出ないの。」
嘘を吐いても仕方ないので、私はそう言った。
“家に居るのが好きなの?”
「・・・そういうわけじゃないんだけど。」
“じゃあさ、今度映画行かない?”
「・・・・え?」
“今、見たい映画があってさ・・・・”
突然の誘いに困惑した瞬間、私の部屋の扉が静かに音もなく開いた。