叶う。 Chapter1
だけれど、次に目を覚ましたのはもうすっかり夕方を過ぎたくらいだった。
窓から差し込む光はその影を潜め、代わりに薄暗い闇がその存在を現し始めていた。
夢も見ずにぐっすりと眠った私は、朝とは比べ物にならないくらい身体が楽になっていた。
だけれど、なぜか隣にいたはずのシオンの姿がない。
あれだけぴったりと密着していたはずなのに、いつの間に居なくなってしまったのか。
少しだけ乱れたシーツがその存在が確かにそこにあったことを肯定しているけれど、私は何故かすごく不安になった。
熱を出したせいで、色々なことがおかしくなっていたのかもしれないと思った。
それは私の頭しかり、夢しかり、なんだか心が彼方此方彷徨っているような、不安定さが一気に押し寄せてくる感覚に少しだけ寒気を感じた。
だけれど私はそれに気付かない振りをした。
さっきまでは全て、熱のせいで見た夢なのだと、そう考えれば何も怖いことなんかない。
そう、夢だ。
あれは幻覚。