叶う。 Chapter1
じゃあ、何で私はこんなに気分が悪いんだろう。
いつもの私なら、そんなことすら考えないし、ただ一日何も考えずに過ごしているはずなのに。
高熱を出したから、頭がどこかおかしくなったんだろうか?
それとも、あの夢を見たから?
“僕が君を守ってあげる”
夢の中のシオンは、確かにそう言っていたけれど、それは私が都合の良いように解釈しただけであって、本当はそんなこと言われたのかさえ、定かじゃない。
何しろ、あの頃は私もシオンもまだ子供だったのだから。
左手にあるシオンの傷跡は本物だから、全てが夢だったとは思わないけれど、それでも全てが私の見た夢そのままっていう証拠にもならない。
真実を確かめたいけれど、それをシオンに聞く勇気はない。
それに例え、真実を知ったところで何かが変わるわけでもない。
だけれど、どうしても気になる。
なぜ、シオンはあんな綺麗な彼女がいるのに、私を抱くんだろうか?
気まぐれか、ただの捌け口でしかないのだろうけれど、それでもその理由がどうしても知りたくなった。
私は一体、どうしてしまったんだろう?