叶う。 Chapter1
――――だけれど。
一つだけはっきりしているのは、シオンが原因だってことだけだ。
もし、シオンがこの場に居たら、私はいつもと同じように何も考えずぼーっと過ごしているだろう。
最近のシオンは様子が少しおかしいし、更にさっき見た夢のせいでその存在が私の中で大きくなったんだと思った。
だけれど今日シオンに何かされた訳でもないし、むしろ看病して貰ったし、行かないでと我侭まで言ってしまった。
だからシオンにイライラしている訳でもなくて、特別な感情を抱いている訳でもない。
原因が分からないことにイライラしているのかもしれない、とほんの少しそう思った。
「・・・・・・はぁ。」
しばらくそんな事を考えて居ると、頭が痛くなったので溜息を吐いた。
そしてあれこれ考えるのを辞めた。
答えが出ない悩みほど、考えるのは時間の無駄だと分かってるし、そんな事よりも早く薬を飲んで寝ないと、また熱を出して家族に迷惑をかけたくない。
無駄なことを考えるより先に、心配をかけたママに電話くらい入れよう。
私はそう思って立ち上がると、もうすっかり冷めたうどんに、ラップをかけて冷蔵庫にしまった。
そしてそのまま、真っ直ぐに部屋へと向かった。