叶う。 Chapter1
部屋に入ると、まずはベッドを綺麗に直して携帯を探そうと思った。
昨日、確かシオンに電源を切られてベッドに放り投げられたことを私はしっかり覚えていた。
熱のせいで汗もかいたし、何よりシオンの香水の匂いが気になったので、シーツも取り替えようと思い勢いよく引っ張ると、電源の入っていない携帯も一緒に姿を現した。
私はそれを充電器に挿すと、とりあえず洗濯物を持ってバスルームに向かう。
そして換えのシーツと毛布を持って、また部屋に戻る。
いつものように綺麗にベッドを整えると、サイドテーブルに置かれた市販の風邪薬を一応飲んだ。
熱が下がったとはいえ、風邪を引いてることは確かだ。
そしてベッドの上に座ると、携帯の電源をつける。
しばらく待つとそれは直ぐについて、私は画面をタッチして開いた。
映し出されたその画面を見て思わず驚愕した。
無数の不在着信と、メールが大量に送られてきていたからだ。
その瞬間、昨日の出来事を思い出した。
途端になぜか、またもやもやとした気分になったけれど、私は着信から確認することにした。
10件ほどの着信があったけれど、それは全て和也からの着信だった。