叶う。 Chapter1
あんな風に勝手に電話を切った事を、申し訳なく思った。
着信の時間を確認すると、私が強引に電話を切ってから何度か繰り返し掛けて来た様子だったけれど、電源が切られてからも数回掛ってきているようだった。
そして最後の着信を見ると、2時間くらい前に一度電話をしてきたみたいだった。
私は頭の中で、どう言い訳しようか考えた。
とりあえず、昨日は電池が切れたことにしよう。
まさか、シオンのせいになんて出来るわけがないし、何より今朝から熱を出していたのだから、具合が悪かったっていう事を伝えれば大丈夫かと思った。
そして今度は順番に、古いほうからメールを開く。
“何かあったの?”
“大丈夫?”
“めっちゃ心配なんだけど”
“本当に大丈夫?”
“電話も繋がらないよ”
“何があったの?”
“心配で寝れない”
その時間を確認すると、明け方の4時頃だった。
私のせいで、余計な心配をかけてしまった事が申し訳なくて、私は何だか不安になった。
その後、お昼頃に一度凛からのメールが入っていたけれど、和也から何も聞いていないのか“今日休み?”というシンプルなメールだった。
そして最後のメールを確認すると、私は更なる衝撃で一瞬思考が止まった。
“さっき、かなうの家訪ねたんだけど、具合悪かったんだってね。何度も連絡してごめん。でも本当に心配だったんだ。元気になったらでいいから連絡待ってるね。”
それは僅か2時間前に送られてきたメールだった。