叶う。 Chapter1




来たの?

五十嵐さんは何も言っていなかったし、一体誰が対応したんだろうか?

まさかシオン?

そう思った途端、急に胃にずっしりと重たい石を入れられたかのような不快感が身体を駆け巡る。


シオンは別に態度が悪いわけじゃないけれど、他人に対して極端に冷たいし無関心なのだ。
だから、多分普通の感覚で接したらすごく感じが悪いに決まっている。

こんなにも心配をしてくれていた和也に、おかしな対応をしたんじゃないかと不安に思う。

とりあえず、直ぐにでも電話して謝りたい衝動にかられたけれど、先にママに連絡をいれるべきだと思った。

かといって、おそらく仕事中だろうママに連絡を入れるのは気が引けたので、メールを送っておく事にした。


“心配かけてごめんなさい。熱下がったよ。”


メールを送信して、ふぅーと深く息を吐き出す。


和也にちゃんと連絡を入れないといけない。

きちんと伝えたい事を頭でゆっくり整理すると、私は携帯の電話帳を開いて、新しく登録された和也の番号をゆっくりとタッチした。





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