叶う。 Chapter1
「今日、凛に会った?」
“凛?”
「うん。」
何だか歯切れの悪い和也の喋り方に、若干疑問を感じたけれど、私は黙って和也の言葉を待った。
“凛には会ってないよ。ってか、あいつと学校じゃ喋んないし”
「・・・え?」
昨日あんなに仲良さそうに喋っていたのに、私の疑問は更に膨らんだ。
だけれど、考えてみたら私が凛と仲良くなってから、今まで一度だって凛が他の人と一緒に喋ったりしたのを見たことがない。
なんでそんなことに今まで気付かなかったんだろう。
「どうして?」
“・・・まぁ、色々あって。俺らが原因だから、凛が悪いわけじゃないよ”
そう言った和也の声は、なぜか元気がなくって私はその理由がすごく気になった。
「・・・理由聞いても良い?」
不躾だとは思ったけれど、ついそんな言葉が口をついて出てしまった。
“ごめん、それは会った時に話すよ”
和也はそう言って言葉を切った。
私は質問してしまったことを後悔した。
会って間もない、それも昨日のいい加減な私にそんな話聞く権利なんかないのだと思った。
「・・・・ごめんなさい。」
何だか全ての事に、気を使えない自分が情けなかった。
“いや、なんで謝るの?”
「なんか、ごめん色々と私馬鹿だから。」
それ以外の言葉が見つからない。