叶う。 Chapter1
彼氏と彼女
/告白
翌朝、いつもと同じ時間に目覚ましが鳴り響いた。
私はベッドから手を伸ばすと、それをすばやく止める。
耳の良い私には、一番小さな音にしていてもそれはとてもうるさいのだ。
寒いとベッドから出たくないとは、万人が思うことだろうけれど、あんまりのんびりもしていられない。
久しぶりに夢も見ず、沢山眠った気がした。
身体はもうすっかり元気になっていて、睡眠が人間にとっていかに大事なことなのか良く分かった。
私はベッドから起き上がると、大きく伸びをしてから上着を着て部屋を出た。
いつも通りにバスルームで顔を洗ってから、リビングに向かう。
リビングに近づくに連れて、何だか良い香りが漂ってきた。
その香りで、どうやら今朝はママがきちんと家に居ることが分かった。
ママは、普段きちんと定時に帰宅していると、こうして朝食を作ってくれる。
そして私達を学校に送り出してから睡眠をとる事が多い。
ご飯の支度をするのは苦ではないけれど、ママが居てくれるといつもよりのんびり出来るので正直助かる。
美味しそうな匂いに誘われるようにリビングの扉を開けると、案の定ママがキッチンに立って料理を作っていた。