叶う。 Chapter1
いつもよりもゆっくり時間がかけれたので、私は髪を丁寧に編みこんでカチューシャ代わりにして仕上げた。
器用に指先を動かしながら、色々と考えを廻らせてみたけれど、やっぱり私にはその答えは分からなかった。
鏡に映る自分の姿を見て、その顔色の良さに驚く。
やっぱり人間は睡眠をとるべきだと改めて感じながら、いつもと同じナチュラルメイクを施した。
出来上がった自分を見て満足すると、私は制服に着替えて薄手のダッフルコートを取り出した。
それはこの前ママと買い物に行ったときに買ってもらったコートで、私はこの赤のチェック柄がとても気に入っている。
一見私服みたいに見えるけれど、学校をさぼるのには都合がいいし、何より病み上がりなのでそろそろコートを着るべきだと思った。
季節はもう11月。
充分、厚着をするべき季節になっていた。
私がこの家に引き取られてから、8年目の冬がやってきた。