叶う。 Chapter1
いつもと同じ駅のホームに立った私は、その思考を掻き消すように鞄に手を入れて携帯を取り出した。
電車が来るまでに、まだ若干時間があったので、先に和也に連絡を入れておこうと思った。
電車の時間を確認してから、携帯をつけるとメールを開いて作成する。
″おはよう。あと5分で電車来るから、多分35分後くらいに駅に着くと思う。″
必用な情報を入力して、送信をタッチする。
メールは直ぐに送信されて、画面には送信完了の文字が映し出された。
私はそのままもう一度メールを開いて、今度は凛にメールを送る。
″昨日はごめんね。風邪で1日寝てたの!今日は遅刻するけど、学校には行くよ!″
多分凛も遅刻してくるだろうから、そう送った。
和也と会う事を伝えた方が良いか迷ったけれど、幼馴染みの二人だから、もう知ってるんじゃないかと単純にそう思ったので、あえて何も送らなかった。
和也と凛は本当に信頼関係が出来てる雰囲気だったし、私が態々余計な事を言う必要もないだろう。
暫くすると電車がやって来たので、私はいつもと同じ車両に乗り込む。
慣れない携帯を片手に持って、普通の学生みたいに友達からの連絡を待つのは、何だかいつもと違って新鮮な気分だった。