叶う。 Chapter1
電車に揺られていつものようにぼーっと流れる景色を眺めていると、急に掌から振動が流れてビクっとする。
いつもは携帯を握り締めている事なんてないので、そんな事に驚いた自分に思わず笑ってしまいそうになる。
携帯を確認すると、それは和也からの返信だった。
“了解!着く頃に迎えに行くよ”
シンプルなそのメールを確認すると、私は携帯を鞄にしまった。
そして顔を上げて、いつもと同じ流れる景色を眺めた。
だけれど、何故かその景色がいつもと違って見えた気がしたのは、私の心が小さくドキドキと鼓動を刻んでいるからだと思う。
いつもと違う日常。
それは私にとってはとても刺激的だった。
それでも学校の駅に着く頃には、そんなドキドキもだいぶ治まっていた。
さっきまではドキドキというよりも、ワクワクしていたけれど、電車が止まると急に落ち着かない気分になった。
人も疎らな電車を降りると、途端に私はそわそわした。
いくら一昨日遊んだと言っても、実際に会うとなるとやっぱり違う。
なんだか、とても緊張する。