叶う。 Chapter1
それとも最近の中学生の普通の感覚だと、出会って直ぐに家にお邪魔しても良いものなのだろうか?
私が悶々とそんな事を考えて居ると、突然和也が笑いだした。
「ひょっとして、かなう警戒してる?」
「えっ?」
「大丈夫だよ。急に襲ったりしないからww」
和也はそう言って、更に声を上げて笑った。
別に変な想像はしてなかったけれど、そう思われてた事が恥ずかしくて、私はまたおかしな事を口走る。
「し、してない!してないよ!ほんとに!!」
「分かったよwそんな何回も否定しなくても大丈夫w」
「ほんとに、本当だよ!」
顔を真っ赤にして、否定する私が相当おかしかったのか、和也のクスクス笑いは暫く治まらなかった。
それから暫くして、ようやく笑いの発作が治まった和也は、恥ずかしくて俯いたままの私の頭をポンポンと軽く叩いてこう言った。
「かなうが嫌なら、溜まり場行こうか?」
頭の上から聞こえてきたその声音は、とても優しい響きを含んでいた。
私がやっと視線を上げて和也の目を見ると、その瞳はやっぱりとても温かくて、疚しい気持ちなんて全くないことが分かった。
きっと本当に私の体調を気遣って、家に誘ってくれたんだと改めて気付いた。
何だか、とても申し訳ない気分になった。