叶う。 Chapter1



「ん?アンナ何してるの?」


「・・・・お、お風呂はい、ろうと。」


無意識に毛布を握り締める。
服を着てこなかったことに心底後悔をしたけれど、もう後の祭りだ。


「そか、ごめんお待たせ。」


背中に冷や汗が流れ落ちる。
恐る恐るその人を見上げると、何か言いたげにこちらを見つめている。

さっきまで私と身体を重ねていた人と、同じ顔、同じ声、だけど不思議なもので、長く一緒に居るから違うと分かる。


心臓が嫌な音を立てて脈打つのが分かる。

一瞬の沈黙の後・・・


「早く入りな、寒いでしょ?」


どうやら服を着ていないことはバレているらしい。




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