叶う。 Chapter1



その人はそれだけ言うと、リビングに向かって歩いていった。
その後姿を確認しながら、慌ててバスルームに入る。


まだ心臓は煩いくらいの鼓動を刻んでいるけれど、深く質問されなかったことにほっとした。


大丈夫、服を着てないことは言い訳出来るし、きっとバレてはいない。



お風呂の中に入ると、いつもよりも2度お湯の温度を上げた。
シャワーの蛇口をひねると、すぐに熱いくらいのお湯が流れ出す。

壁に両手をついて項垂れると、首の辺りに流れ落ちるお湯が冷えきった身体を温めてくれた。

充分に身体が温まると、さっきまでの頭痛が少し治まった。


それにしてもさっきは寿命が縮んだかと思うくらい驚いた。
まさか、レオンが帰宅していたなんて予想すらしていなかった。

シオンとの行為はいつも、レオンやママが居ない日しかなかったから、すっかり油断していた。

いつもなら誰か帰ってきたりしたら必ず気付くのだけれど、今日は寝起きだったから全く気がつかなかった。

レオンはいつ帰ってきたんだろうか?



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