叶う。 Chapter1
「これ美味しいね。」
「だろ?最近の俺のお気に入り。」
和也はそう言ってもう一つ私の口にクッキーを持ってきた。
私はそれをまた口に含む。
すると突然、和也がクスクス笑い出した。
「なんか、かなうに餌付けしてるみたいww」
確かに自分でももちろん食べれるけれど、こんな風に口に持ってこられると食べなきゃいけない気分になる。
なんだか少しだけ馬鹿にされたような気分だったけれど、和也はそんな私の頭を優しく撫でてくれた。
何だか付き合うということがどんなことなのか分からなかったけれど、和也は特に変わった様子もなくて私は少し安心した。
和也はさり気無く私に触れたりはするけれど、それ以上何かをしようとする気配すらなくて私は少し不思議に感じたけれど、2人でいるこの空間がとても心地がいい。
それは一昨日溜まり場でみんなで集まった時と同じような居心地の良さだった。
ベッドの上でお菓子を食べるのは、行儀が良くないことだろうけれど、和也はそんなことは全く気にしないようだった。
その後は、自分からあまり話をしない私に気がついたのか、和也は自分について色々と教えてくれた。