叶う。 Chapter1
その後は3人で、この前と同じようにお喋りをして過ごした。
相変わらず、凛は和也に色々と文句を言ったりしたけれど、最終的には私と和也が付き合うことに納得したみたいだった。
私は申し訳ないけれど、和也が彼氏になったっていう実感が全くなかった。
それでも、凛も和也も私にとってはとても大切な存在な事には変わりなくて、自分はとても幸せだと心から思った。
彼氏と彼女になるって事が、どういう事なのか良く分からないけれど、こうやって3人で過ごして居ても何か変わる訳じゃなかったので、私は深くは考えなかった。
ただこうして、少しずつ変化していく自分ときちんと向き合っていけば大丈夫だと思った。
そう、私は本当に何も分かっていなかった。
だけれど、この時はそれが私の精一杯だった。
私はただ、普通の女の子になりたかったのかもしれない。
普通に学校に行って、友達と遊んで、彼氏を作って、そんな普通の事に憧れを持っていたのかもしれない。
普通じゃない私に、そんなこと出来る訳がなかったのに。
私は気付かなかったんだ………。