叶う。 Chapter1




見た目は確かに悪そうで、怖そうだったけれど、そんなこと言ったら今隣に居る和也も、他人から見たら充分怖いだろうことに私はふと気がついた。

多分、前から意識して学校に行ってたら、決して自分から近付くことすらしなかったに違いない。

私はそう思ったら、妙に納得した。

優しく笑顔を向けてくれる和也だから怖いとは思わないけれど、怒ったらきっと怖いんだろうと思う。

和也が怒ってる姿なんて絶対に見たくないと、私は密かに思った。


あの四人組にからまれたおかげで、駅に着く頃には結構時間がギリギリになっていた。

和也もほとんど無言に近かったし、引かれる手からも急いでいるのが伝わるぐらいだったけれど、それでも時折振り返って私を確認してくれる和也はやっぱり優しい瞳をしていた。

「ギリギリだったな。」

駅のホームに辿り着いた瞬間、直ぐに電車が到着した。

私は相変わらず和也とずっと手を繋いだまま、やって来た電車に乗り込む。

いつもなら一人でドア付近にもたれかかって音楽を聞いたりするのだけれど、今日は和也と二人だったので、空いている席に二人並んで座った。

外の景色を見れないのが少しだけ残念だけれど、それでも隣に和也が居るだけで、退屈な電車内がまた違った景色に見える。



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