叶う。 Chapter1
「え?大丈夫なの?」
和也はそう言って、とても驚いた様子で私を見つめる。
多分、今日は五十嵐さんが来てくれてるはずなので、夕飯の支度もしなくて大丈夫だし、きっとまだ誰も帰ってきてないだろう。
「うんママも仕事だし、多分帰っても誰も居ないから。」
私がそう言うと、和也はすごく嬉しそうに笑った。
「マジか、じゃあちょっとだけフラフラするか。」
「うん。」
和也はそう言うと、そのまま来た道を戻り始めた。
「何か腹減ってんだけど、かなうは?」
「・・・うん、少しなら食べれるよ。」
「よし、じゃあ何か軽く食おうぜ。」
「うん。」
和也はそう言って、人で賑う駅前のファーストフード店に向かった。
そこはこの前、凛と一緒に来た場所だったので、やっぱり今時の学生はこういう食べ物を好んで食べるのだろうと私は勝手にそう思った。
和也は私に食べたい物を聞いて、自分と一緒に適当に注文を済ませると、商品を受け取った。
空いている席に2人で向かい合って座る。
今まで横に居た和也が、正面に居るとまた違って見えるのがとても不思議だし、なんだか少しだけ恥ずかしい気分になる。
「あ、お金払うよ。」
私のも一緒に頼んでくれたので、私はそう言って鞄から財布を取り出した。