叶う。 Chapter1
「なんで?要らないよ?」
和也は不思議そうにそう言う。
「え?だって私のも買ってもらったから。」
そういえば、さっきもコンビニで買って貰ったことをふと思い出した。
いつもレオンやママと買い物に行く時の癖で、自分で買い物をする習慣があまりない私は、すっかりそんな事を忘れていた。
「へーき、へーき。彼女に奢るくらい甲斐性あるしw」
「でも・・・。」
「ほんとに、別に金に困ってないし。」
「そうなの?」
「うん、たまに親父の店でバイトしてっから。」
「え?中学生なのに?」
「親父の店手伝って小遣い貰ってるだけだよ。」
和也はそう言って、なんでもない風に出来たてのハンバーガーの袋を手に取った。
「そうなんだ。」
「そ、だから遠慮いらないよ。」
そう言って、ポテトを私の口に持ってくる。
私はまた思わず口を開いてそれを口に入れる。
そんな私を見て、和也はまたクスクスと笑った。
私はさっきのクッキーを思い出し、途端に恥ずかしくなって自分でポテトを食べ始めた。
2人で食べるご飯は、なぜかとても美味しかった。
急いで食べる必要もないし、何よりも綺麗に完璧に食べる必要もない。
和也も決して汚く食べるわけじゃないけれど、兄達ほど完璧じゃないことに少し安心感を抱く。