叶う。 Chapter1
楽しい時間が過ぎるのは、本当に早い。
時刻はもう7時を少し過ぎたくらいだった。
向かい合って座る和也を改めて見ると、その端正な顔がはっきりと分かる。
日本人なんだけど、どこか外国の血が入っているような雰囲気があるような気がする。
彫りが深いと言うか、鼻が高いからか、身体が大きいからか、何故かふとそんな気がした。
だけれど、実際はそんな事はないだろう。
ただ、ほんの少しでも自分との共通点が欲しかっただけなのかもしれない。
「なに真剣に見てるの?」
ぼーっと和也を眺めて居ると、突然そんな風に声を掛けられて我に返った。
「和也って、綺麗な顔してるなって思って。」
私は素直にそう言って、その綺麗な瞳を眺めた。
「綺麗ってw女じゃないんだから、カッコいいとか言ってよw」
「じゃあ、カッコいい?」
「なんで疑問系?」
「なんか……恥ずかしい……。」
「かなうには負けるよ。」
和也はそう言って楽しそうに笑った。
なんだかその笑顔を見れただけで、今日はとても充実した時間が過ごせた気がした。
「そろそろ、行かなきゃな。」
和也が時計を確認したので、私達は片付けをしてお店を出ることにした。