叶う。 Chapter1



「何にやけてんの?」

コンビニの入り口で立ち止まったレオンは、どうやら気付かないうちに私を盗み見ていたらしい。


「なんでもないよ。」

「・・・アンナ、鼻がトナカイみたいだよ。」


レオンはそう言ってクスクス笑った。

パジャマの上に厚手のパーカーを羽織って、フードを被ってきたけれど、それでも夜中の冷たい風は容赦なく私の顔にそのあとを残しているらしい。


不意にレオンは私の手を握った。


「冷たいじゃん。」


そう言って、私の手を引いたままコンビニに入る。


性格なのか、レオンはこうして手を繋いだりスキンシップすることが多々ある。
それは私に対してだけじゃなく、女性全般に対してという意味。


同じ双子なのに、シオンとレオンはすごく性格が違う。



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