叶う。 Chapter1
「んー・・・・。」
サンドイッチやらコーヒーやら深夜に食べるような物じゃないものをを適当に買い込むと、レオンはお菓子売り場のチョコレートの前で足を止めた。
「それと、これと、いちごのやつ。」
片手にカゴ、片手に私の手を握っているので、レオンはそう言って目線だけで私に指示を与える。
なんとなく、レオンの好みは分かっているのでちょっと疑問に思いながらも指定されたチョコをカゴに入れた。
いちご味のチョコを手にとって、レオンを見上げると首を傾ける。
レオンはいちごが好きじゃないはずだから、確認のつもりだった。
「それはアンナの。」
なんでもない風にニコニコしながら、レオンはそのままレジに向かう。
私が何かを言う前に、レオンはさっさとお会計を済ませて荷物を受け取り、私達はコンビニを出た。
私の事を気にかけてくれたお礼を伝えたかったけれど、繋いだ手が温かかったから、私は無言で手を引かれたまま、自宅へと帰った。