叶う。 Chapter1
「じゃあ、後はお願いね。どっかに捨てて来て構わないから。お金は後で払うわ。」
その声は、女性の声だった。
私はピアノと一緒に、ソルフェージュを併用して習っていた。
それは譜読みや聴音などの基本的な訓練なのだけれど、そのおかげか音や声に物凄く敏感だった。
だから私はその声の主が誰だか分かってしまった。
名前も知らないクラスメイト。
なんでこんな事するんだろうと思った。
何か迷惑をかけた覚えも無かったし、そもそもまともな会話すらした事もなかったのに。
私にはこんな事をされる理由が分からなかった。
そしてその後、散々弄ばれた私の身体は体力の限界を迎えた。
早い話が、私は意識を失ったのだ。