叶う。 Chapter1


次に目を覚ました時は、病院のベッドだった。

「アンナ!!気がついたの!?」

私の目に最初に映ったのは、目を真っ赤に泣き腫らして私を覗き込むママの姿だった。

ママは無言で私の手を握ると、泣きながら自分の頬に当てた。

「・・・・良かった。」

ママの言葉にチクリと胸が痛んだのを覚えている。

私のせいで、ママを泣かせて心配させてしまったことが、とても悲しかった。

「ごめんなさい・・・。」

正直この時は、レイプされている時よりも辛かった。

「どうしてアンナが謝るの!?」

「・・・・・心配かけちゃったから。」

「心配だなんて・・・・とにかく気がついて本当に良かった!」

「・・・・・。」

「間に合わなくて、ごめん・・・ね。」


ママはそう言って、私を抱きしめてくれた。
その温もりがなんだか余計に切なくなったのを覚えている。



結果的に、ピアノに来ない私を心配した先生から、ママに連絡がいったらしく、誘拐の可能性もあるのですぐに警察が動いたようだった。

そして白昼だったこともあって、目撃者も多数いたし、通報者もいたらしいので、私は気を失って暫くした頃に警察に保護されたらしい。



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