叶う。 Chapter1
私はクラスメイトの話は一切しなかった。
もうこれ以上の揉め事は正直勘弁だったし、何より学校で起こっている事をママに知られて心配されることの方が嫌だったからだ。
有名私立の女子校というだっけあって、お金だってすごくかかっていたはずだったから。
だから警察には、目を隠されていたし、何人かの男の声しか分からなかったと毎回そう答えていた。
だけれど、私のささやかな努力は結局のところ無駄に終わった。
捕まった男が、あっさりと口を割ったらしい。
それは私が退院した直後のことだった。
精神的な面を考慮して、しばらくは学校を休むように医師の指示を受けていたので、私は毎日ずっとピアノを弾いて過ごしていた。
気持ちの良い午後の日差しの中、ピアノを弾こうと防音室に向かう途中、それは起こった。
誰か来客があったことを知らせるコールが、静かに室内に鳴り響いたのだ。