叶う。 Chapter1
「一つ確認をしたいのですけれど。」
ママは蔑んだ目で睨むようにその夫婦を見つめながら言った。
夫婦の顔が強張るのが分かった。
「一体何をしにいらしたのでしょうか?」
「そ・・それは、謝罪をと思いまして・・・」
「謝罪ですか、そうですか。私は娘に謝罪をしたいと先程伺ったので、こうして娘を連れて参りました。ですがどうやら間違いだったようですね。」
「・・・え?」
「ご理解していらっしゃらないようなので、率直に申し上げますが、私には貴方方の謝罪がどういうものなのか理解出来ません。」
「え、それは・・・・。」
「・・・・謝罪と言うのは、相手に対して誠心誠意謝ることではありませんか?貴方方は先程から一度たりとも娘を見ることすらしておりませんし、娘に対する直接の謝罪の言葉を発してはいませんよ?」
ママはイライラしているように、早口でそう言った。
夫婦はハッとしたように、直ぐに私に向き直り深く頭を下げた。
「この度は、大変申し訳ありませんでした!!」
心なしか震えた声で、夫婦がそう言った。