叶う。 Chapter1
電車が到着するまで、後2分ほどあった。
結構ギリギリかと思ったけれど、無事に間に合ってほっとした。
私が向かうのは、通勤ラッシュと言われる満員電車とは真逆の方向なので、ホームにいる人数もとても少ない。
私は鞄に手を入れると、イヤホンを挿したままの携帯を取り出した。
通学中はいつもこうして音楽を聴きながら行くことが、最近の日課になっていた。
音楽は好き。
特に普段は日本語で生活しているので、私は洋楽を好んで聴くようになっていた。
電車はすぐにやってきた。
私はそれに乗り込むと、いつもお決まりのドア付近にもたれ掛かかった。
席は結構空いているけれど、立ったままでいる方が私はなぜか落ち着く。
昔から何故か、人と密着する空間は苦手だった。
それに、こうして立ったまま、流れる景色をぼーっと見ているのが好きだった。