叶う。 Chapter1
きちんとリズムをとろうと、自然に身体が動く。
頭の中では音符が次から次へと浮かんでは、流れて消えていく。
それは私の手から鍵盤へ、鍵盤からピアノへ
ピアノから私の耳に、直接流れ込んではその心地よい音色を響かせた。
今度はきちんと集中していたので、演奏を終えた私は額にうっすらと汗を浮かべていた。
「毎回そのくらい集中しなさい。」
先生はそう言って、楽譜を手に取りシャーペンで何箇所かに記をつけた。
「ここと、ここと、ここ、毎回音が硬いのよ。ちゃんと練習して、次までに仕上げてきてね。」
私は楽譜を受け取ると、頭を下げた。
「大丈夫、今年は優勝出来る。アンナは集中すれば大丈夫なんだから。」
「・・・・はい。」