叶う。 Chapter1
走って乱れた呼吸を整えながら、到着した電車に乗り込む。
いつもなら音楽を聴くのだけれど、なんとなく今日は聴く気分じゃなかった。
“かなうと遊びたい”
そう言ってくれた凛ちゃんの声が、とても耳に残っていたからだった。
正直、とても嬉しい。
こんな自分と遊びたいと言ってくれた凛ちゃん。
だけれど、反面ちょっとだけ不安にもなる。
私はちゃんと嬉しそうに出来ていただろうか?
感情を上手く表現出来ない私は、相手に何か伝えることがとても難しい。
特に不便には感じていなかったけれど、それは今までこういう風に感情を表す必要がある相手が家族以外居なかったからだ。
だけれど、こんな私にあんなに優しくしてくれる凛ちゃんには、ちゃんと自分の気持ちを伝えたい。