叶う。 Chapter1
暗い過去を思い出す度に、頭が痛くなる。
電車に揺られながら、こめかみを揉んだ。
頭は酷く痛んだけれど、なぜか気持ちはすごく落ち着いていた。
明日は土曜日だから、病院がある。
最近はなにかと理由をつけてサボってばかりいたけれど、たまには行ってみるべきなのかもしれない。
病院は苦手。
自分の事を沢山聞かれるから。
現実から目を逸らすことの方が、生きていくには楽だった。
だけれど、それは同時に何の解決にもならない事に最近ようやく気付いた。
それはほんの少しだけ、私が成長したからなんだろうと思う。
まだまだ見た目も含めて子供だけれど、こんな風に自分を少し理解する事が出来るようになったのは、きっと成長したからだと思う。
明日は久しぶりに病院に行こう。
そんな事を考えて顔を上げると見慣れた景色が視界に映っていた。
電車はすぐにスピードを落とし、私の住む街にゆっくりと停車した。