叶う。 Chapter1
真っ直ぐ家に帰ろうと思って歩き始めたけれど、ふと思いついて足を止めた。
私はUターンすると、すっかり人で賑う繁華街を通って駅に向かった。
駅前にある大きな駅ビルに入り、目的の場所に真っ直ぐと向かう。
そこは大きな書店で、私は天井から吊るされた表示を見ながら目的の本を探した。
この書店は楽譜も取り扱っているので、私はよくこの場所に足を運んでいた。
お目当ての本はすぐに見つけることが出来た。
それは世界の作曲家達の作風や生涯が書かれている本だった。
でもそれは種類が多すぎて全部買うことは不可能だったので、発表会で弾く月光を作ったベートーヴェンや、有名どころの作曲家達がメインになっている本を何冊か買うことにした。
重たい本を抱えてレジに向かう。
お会計を済ませて、二重の紙袋に入れられた本を受け取ると、それはずっしりと重たくて、私はもう少し少なくすれば良かったと後悔した。
そして重たい本を持ちながら、今度こそ自宅に帰ろうとフラフラと駅ビルを後にした。