サイコーに幸せなお姫様。
「慶一郎ってさぁー男が好きなの?」
堂園なお。同い年。同じクラスですごくノリのいい女の子。気が合ってよく一緒につるんでいた。
僕のキャラは相変わらず。女の子みたいな仕草。
でも決してみんなつっこんで聞いてこないこの質問を初めてダイレクトにされた。
「うん。僕、男の子が好きだよ」
生まれて初めてのカミングアウト。これからは本当の自分を出して生きていくって決めたから嘘はつかなかった。
なおは教室の机に頬杖をついていたけど姿勢を正して口を開いた。
「家族とか友達で理解してくれてる人はいるの?」
「家族だけはね……身内以外に言ったのはなおが初めて」
ドキドキしていた。なおの反応が怖かった。やっぱりひいちゃうよね?特殊だよね?僕みたいな人間。
だけどなおから出てきた言葉は……
「私、堂々としてる奴、好きだよ?辛い思いもしてきただろうけどこれからは本当の自分出していきなよ。慶一郎は慶一郎なんだからさ!」
夕焼け色に染まった教室。なおは笑顔で言ってくれた。
友達は多かったけど心の底から信頼できる女友達に出会えたと思えた瞬間だった。